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vol.1「最近の会計検査院報告から」

 会計検査院は4月23日、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、国会及び内閣に「地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について」の随時報告を行った。
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/26/h260423.html

 今回はこのうち、地方財政計画額と決算額の乖離の分析の部分について、その概要を紹介し、関連した雑感を述べる。

  総務省では一定の修正を行った上で地方財政計画額(歳出)と決算額(歳出)とを比較して公表しているが、これによると、恒常的に決算額が地方財政計画額を上回っており、平成17年度から19年度にかけての乖離の一体的是正により17年度から20年度までは歳出総額の乖離額は2兆円を下回っていたが、20年度から拡大し、22年度は6兆円を超えている。

  乖離の要因としては、地方財政計画には含まれていないが、決算額には含まれている 
①基金の取崩相当額(22年度2兆6千億円)、②超過課税等(22年度5千億円)、及び③年度内貸付金の規模が地方財政計画上は1兆6千億円としている年度内貸付金の規模が22年度で5兆7千億円となっていることなどが考えられる。

  会計検査院は、これらの恒常的乖離要素を明示した上で地方財政計画と決算額との比較分析状況を説明する必要である、との趣旨の所見を表明している。

 現状では、決算額が地方財政計画上の歳出総額を大幅に上回っていることから、単純に、地方財政計画上の財政需要が過少見積になっていることを示しているとの誤解を与えることになりかねない。
  地方交付税総額の在り方を考えるうえで、より的確な比較分析に基づく十分な説明の必要性を示している報告と言える。 地方財政制度の長年の歴史と国・地方での厳しい財政事情を背景に、数々の変遷を経てきた地方財政制度と地方交付税制度の在り方には種々の議論があるとは思うが、まずはその実態として、計画と決算の適格な差異分析をする必要があることに異論はないのではないか。

  また派生して、乖離要因の①としての基金規模が増大している状況と、③としての年度内貸付が相当の規模で実施されている現状については、それぞれ各自治体での財政運営上の解決すべき課題があることを示している点も見過ごしてはならない。

【会計検査院制度ミニ解説】
会計検査院による随時報告とは? 平成17年会計検査院法改正により創設された報告制度であり、意見を表示し又は処置を要求した事項その他特に必要と認める事項について、毎年度決算にかかる検査報告の作成を待たず、随時、その検査の結果を国会及び内閣に報告できる制度である。

コーナー編集担当:柴 健次