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vol.2「参議院から会計検査院への検査要請」

会計検査院は平成26年6月9日に参議院から「年金記録問題に関する日本年金機構等の取組について」の検査要請を受け、翌10日これを行う決定をした旨をホームページで公表した。
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/activity/demand_h26.html

このような国会の要請に基づく会計検査制度は、平成9年の国会法改正により追加された同法第105条、「各議院又は各議院の委員会は、審査又は調査のため 必要があると認めるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる」に基づくものだ。

一方、会計検査院が保有する検査資源を使ってどのような検査を行うかは、憲法第90条及び会計検査院法の範囲において、国会や内閣などから独立した裁量権をもって会計検査院が決定している。

そこで、国会法改正と同時に改正された会計検査院法では同法第30条の3が追加され、国会要請があったときは「当該要請に係る特定の事項について検査を実 施してその検査の結果を報告することができる」という「できる」規定として、会計検査院の裁量権を確保しつつ、国会での議論に資する検査を行う仕組みと なっている。
今回の国会要請を受けて会計検査院が実施する検査は、以下のとおりです。
年金記録問題に関する日本年金機構等の取組について

(1) 検査の対象 総務省、厚生労働省、日本年金機構
(2) 検査の内容 年金記録問題に関する日本年金機構等の取組に関する次の各事項
ア 年金記録問題に関する事業の実施状況
イ 年金記録問題への取組による効果の発現状況
ウ 年金記録問題の再発防止に向けた体制整備の状況

なお、国会からの検査要請事項に関する過去の報告実績は、以下から見ることが出来る。
http://www.jbaudit.go.jp/report/demand/index.html  

これまで、会計検査院や会計検査制度については、国会附属機関とすべきであるとする考え方や、国民検査請求制度を導入すべきとの考え方が、国会やマスコミ で議論されてきたことがある。 国会や裁判所に属さず、内閣から独立した検査機関として、検査の裁量権を保持することの意義と、国民の代表であり国権の最高機関である国会との連携の意義 との双方を確保するためにはどうあるべきかについては種々の考え方があると思うが、その一つの答えが国会による検査要請制度ではないだろうか。

コーナー編集担当:柴 健次